こんにちは。 ミッドタウン・コンシェルジュです。
THE COVER NIPPON(ガレリア3F)
日本製にこだわったこちらのライフスタイルショップでは、日本各地から集めた家具、器などだけでなく、お酒や食品も並んでいます。
今日は、現在開催中の「しまのかたち 琉球の風」にて、「幻の泡盛」の試飲会があると聞き、やってきました。
沖縄県宮古島、狩俣地区にあった小さな泡盛蔵「千代泉酒造所」。2013年の休業に伴い、地元住民を中心に親しまれてきた泡盛「千代泉」は、惜しまれながら世の中から姿を消すこととなりました。 ところが2017年、廃屋となった酒造所の蔵にわずかに残った泡盛が発見されたことから、そのお酒を救い出すため「誇酒(こしゅ)プロジェクト」が立ち上がります。泡盛原酒を引き取り、ブランディング・商品化。味わいながら楽しむとともに、600年の歴史ある泡盛の魅力を再興しようとする取り組みです。その泡盛「松藤 崎山酒造廠 千代泉酒造所」(2,500円、税別)が、この試飲会にてお披露目となりました。
まずは、飲み方からレクチャーを受けます。 カラカラという酒器に泡盛を入れたら、可愛らしいおちょこに注ぐのですが...
酒器(おちょこ)1,600円(税抜)、酒器(カラカラ)5,500円(税抜)
酒器を高く上げ、泡立つように注いでいきます。小さな口から小さなおちょこに注がれる様は、細い糸のようにみえる泡盛が、おちょこに吸い込まれるかのよう。
「泡盛」の名も「泡立ちを盛る」ところに由来しているそうです。この「泡」の大きさ、立ち方、きめ細やかさなどで、度数や良し悪しがわかるのだとか。
おちょこを顔の近くに引き寄せる前に、もう、よい香りが漂います。 荒ぶるようなところは全くなく、凛として品のある、まっすぐな香りです。
泡盛をなめるように口に含むと、口の中いっぱいに香ばしさが広がります。
その直後から、深いコクとまろやかさが追いかけてきました。
最も驚いたのは後味で、きりっとすっきり。もう一口いただきたくなります。
「泡盛」というと一度にたくさん飲むイメージがありましたが、本来はそういうものではないそうです。
「泡盛の長い歴史の中で、その立ち位置は戦前戦後で大きく変わりました。 もともと米は貴重品で、米を使った泡盛を飲めるのは王様など一部の特別階級だけだったのです。 戦後は泡盛づくりに時間をかけられない状況や、『酔うためのお酒』、『発散するためのお酒』に変わっていった辛い歴史もありました」とスタッフの方は言います。 だからこそ、今、泡盛の本質を知るべく、「ストレート」での飲み方をおすすめしているとのこと。 でも、飲むとわかるのです。「しっかりしたつくり」の泡盛こそ、「しっかりとそのままのすがた」で、いただきたくなります。
また、芳しい香り、その切れ味の良さから、沖縄料理はもちろんですが、どんなお料理にも合いそう。
こだわりは「泡盛」そのもの、だけにとどまりません。
表ラベルの商品名の上にしずく(黒い円形状)がありますが、大きさや形・位置がそれぞれ違うのがおわかりになりますか?
これは、「千代泉」の原酒を混ぜたインクを、ラベルに一滴一滴落としたもの。しずく落としのお仕事は、沖縄県の障がい者福祉施設の方々にお願いしたそうです。
スタッフの方は「泡盛には命があって、瓶それぞれに個性があると思っています。だからこそ、ラベルにも個性の違いがあります。そして、その一滴一滴を大切にお届けしたいのです」と仰っていました。 さまざまな想いが込められた、一つとして同じ顔のないラベルが付いた泡盛。 店頭では、ラベルの違いを楽しみながら、「これは!」という一本を選ばせて頂きました。
これまでの「泡盛」に対するイメージを360度覆してくれた「松藤 崎山酒造廠 千代泉酒造所」。 スタッフの方は「泡盛に対するネガティブなイメージも、また、泡盛の特徴の一つであります。私たちは泡盛を押し付けるのではなく、『もっとこんなシーンで、こんな飲み方もできますよ』とご提案していけたら、と思っています」とも仰っていました。
「しまのかたち」を知り、「琉球の風」を感じる。 貴重な泡盛をいただきながら、泡盛の物語を楽しみ、豊かな沖縄文化に少しだけ触れたような気がしました。
THE COVER NIPPON ガレリア3F
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